「なぜタクシー業界に？」この質問に説得力を持たせるストーリー作り

タクシー業界への転職面接で、高確率で聞かれるのがこの質問──
「なぜタクシー業界を選んだのですか？」
実はこの問いに、しっかりとした“ストーリー”で答えられるかどうかが、
採用の可否を左右する大きなポイントです。

今回は、説得力を持たせるための考え方・構成方法・具体例をご紹介します。

「給料がいいから」「運転が好きだから」──それだけでは不十分です。
もちろん間違ってはいませんが、多くの応募者が似たような理由を挙げるため、印象に残らないのです。

逆に、たとえばこんな答えだったらどうでしょう？

「前職で体調を崩し、働き方を見直したときに出会ったのがこの仕事でした。
　人と関わるのは苦手でしたが、前職の経験を活かせると気づいて…」

少し人間味を感じませんか？
面接官が知りたいのは、**「なぜその人がタクシー業界を選んだのか」**という物語なのです。

誰でも使える基本構成がこちらです。

①「これまで」

まず、自分のこれまでの職歴や環境をざっくり説明します。
（例：営業職を10年やっていた、夜勤の仕事が続いていた…など）

②「転機」

なぜ転職を考えるようになったのか、心境の変化・きっかけを語ります。
（例：家族の介護が必要になった、職場で人間関係がうまくいかなかった…など）

③「選んだ理由」

その上で、タクシー業界を選んだ“納得感のある理由”を語ります。
（例：時間に柔軟性がある、個人の頑張りが収入に直結する、など）

この3つを意識するだけで、「ただの理由」が“あなたの物語”に変わるのです。

【これまで】
法人向けの営業を8年経験してきましたが、数字に追われる日々が続き、
心身ともに限界を感じていました。

【転機】
体調を崩して1ヶ月の休職を経験したことで、「働き方を根本から変えたい」と考えるようになりました。

【選んだ理由】
タクシー業界は、頑張りが収入に反映される一方で、自分のペースで働ける点に惹かれました。
また、営業で培った「初対面の方との会話力」も活かせると感じ、志望いたしました。

【これまで】
介護職として5年間勤務してきました。高齢者の方のサポートにやりがいを感じる一方、
慢性的な人手不足で長時間労働が続き、体力的にも厳しくなっていました。

【転機】
腰を痛めて一時離職した際、「もっと自分を大事にしながら働ける仕事はないか」と探す中で、
タクシー業界に出会いました。

【選んだ理由】
接客という共通点があり、「安心感を提供する」という点では共通しています。
女性ドライバーの活躍事例も多く、未経験でも挑戦しやすいと感じて志望しました。

下記のような答えは、面接官の印象に残りにくく、説得力も弱くなります。
• 「何となく興味があったから」
• 「運転が好きなので」
• 「前職が嫌になって」
• 「稼げそうだから」

“本音”として思っていても、それをそのまま伝えるのではなく、言葉を選びましょう。
本音を土台にしながらも、「前向きな転職理由」に変換するのがポイントです。

「なぜタクシー業界に？」という問いに、正解はありません。
でも、自分の過去・現在・未来をつなげて語れる人には、説得力があります。

面接は“ストーリーを語る場”。
あなたがどんな思いでこの業界を選び、どんな働き方をしたいのか──
それが伝われば、面接官は“採る理由”を見つけてくれます。

転職活動は、自分自身を見つめ直す絶好のチャンス。
「なぜタクシー？」という問いを、自分を語るきっかけにしてみてください。