「安定したい」だけじゃ足りない。ミスマッチを防ぐ自己分析のやり方

「とにかく安定した職場で働きたい」
──その気持ちは、ごく自然なものです。家庭や健康のことを考えれば、将来を見通せる仕事を選びたくなるのは当然でしょう。

でも、“安定”という言葉だけで会社を選ぶと、**「思っていたのと違う…」**というミスマッチが起こることも少なくありません。

安定を求めるからこそ大切なのが、自分に合った会社・働き方を見極めるための**「自己分析」**です。今回は、転職で失敗しないために、最低限押さえておきたい自己分析の方法をご紹介します。

まず最初にやってほしいのが、「なぜ自分は安定を求めているのか？」を言語化することです。
安定といっても、人によってその意味はまったく違います。

たとえば──
• 「給与が毎月固定で入る安心感が欲しい」
• 「毎日決まった時間に帰れて、生活リズムを整えたい」
• 「将来にわたって働ける会社に入りたい」
• 「無理なノルマや競争のない職場がいい」
• 「定年後も続けられる仕事がしたい」

あなたにとっての“安定”は、どのタイプでしょうか？

これがはっきりすれば、求人を見るときの“選ぶ基準”が明確になります。

自己分析とは、何も特別な作業ではありません。以下の3つのステップに沿って、紙に書き出してみるだけで、自分の軸が見えてきます。

① 過去：どんな働き方が「合わなかった」か？
• どんな職場環境がストレスだったか
• 苦手だった人間関係や仕事の進め方は？
• どんな瞬間に「辞めたい」と感じたか？

過去の職場での“違和感”を書き出すことで、自分にとって「合わない働き方」が見えてきます。


② 現在：今、何を優先したいと感じているか？
• 収入？　時間？　人間関係？　勤務地？
• どんな働き方なら無理なく続けられそうか？
• 自分の体力や生活リズムに合っているか？

転職先に“求める条件”が今の生活とマッチしているかを考えるのが大事です。


③ 未来：5年後、どうなっていたい？
• 長く同じ仕事を続けていたいか？
• スキルアップ・資格取得は必要か？
• 年齢を重ねても働ける業種か？

**「今だけの安定」ではなく「将来の安心」**まで視野に入れて考えると、目先の条件に惑わされにくくなります。

時間がない人は、以下の3つの質問に答えてみるだけでもOKです。
1. 「前の仕事で何が一番つらかったか？」
→ 自分に“合わない職場”の特徴が見えてきます。
2. 「どんなときに仕事が楽しいと感じたか？」
→ やりがいや、向いている業務スタイルがわかります。
3. 「今回の転職で絶対に譲れない条件は？」
→ 求人を見るときの“判断軸”になります。

タクシー業界は「自由」「成果主義」「長く働ける」といった特徴がある一方で、向き・不向きが分かれる業種でもあります。
以下のように、自分の価値観と照らし合わせてみるのがおすすめです。

• 人と話すのが苦手な人
→ タクシー業界では無理に会話を求められることは少なく、「安心感のある接客」を重視する会社も多いため、無言でも丁寧な対応ができる人に向いています。

• 働く時間を調整したい人
→ 勤務体系に柔軟性がある会社が多く、自分の生活リズムに合わせた働き方（昼勤・夜勤・隔日勤務など）を選ぶことが可能です。

• 一人の時間が好きな人
→ 基本的に一人で車に乗る仕事なので、チームワークよりも“自分のペースで働きたい”というタイプにはぴったりの環境です。

• 努力が正当に評価されたい人
→ 売上＝収入に直結する歩合制があるため、自分の頑張りをしっかり報酬で実感したい人にとっては非常にやりがいがあります。

面接や志望動機で「安定した仕事がしたい」と言うと、やや漠然として見えることがあります。
そんなときは、以下のように**“言い換え”**を使って具体性を出しましょう。

• 「給与の安定」を求めるなら、
→「固定給や給与保障制度が整っている職場を希望しています」と伝えることで、より具体的な志望動機になります。

• 「働きやすさの安定」を求めるなら、
→「無理なく長く続けられる環境で働きたいと考えています」と表現すれば、長期的に働く意欲が伝わります。

• 「将来性のある安定」を求めるなら、
→「年齢を重ねても続けられる仕事を探しています」と言い換えることで、継続的な勤務を意識している姿勢を示せます。

• 「精神的な安心感としての安定」を求めるなら、
→「人間関係や職場の雰囲気が穏やかな環境を重視しています」と伝えれば、職場選びの価値観が明確になります。


このように言い換えることで、企業側にも**「この人は自分の働き方を理解している」**と感じてもらいやすくなります。

転職で後悔しないために必要なのは、企業の見極めだけではありません。
**「自分が本当に求めている安定とは何か？」**をしっかり理解することが、ミスマッチを防ぐ第一歩です。

・安定とは、自分にとって何を意味するのか？
・その安定を、どんな環境なら得られるのか？
・過去・現在・未来の視点で、自分を振り返れているか？

自己分析は、難しく考える必要はありません。
自分の言葉で“働き方の軸”を明確にしておくことで、求人選びも、面接での受け答えも、格段にスムーズになります。

「安定したい」──その一言を、もっと“具体的な言葉”に変えることから始めてみませんか？