「説明会だけでも行ってみて」は間違ってなかった

「説明会だけでも行ってみれば？」
転職活動に迷っているとき、誰かにそう言われたことはありませんか？
当時の私は、「行ったところで何が変わるのか」と半信半疑でした。

でも、結論から言うと——行ってみて本当に良かった。
なぜならタクシー業界の説明会は、ただの会社紹介ではなく、“職業観そのもの”をアップデートできる場だったからです。

説明会と聞くと、多くの人は以下のように受け止めます。
• 採用ありきのPRイベント
• 応募を促すための営業トーク
• 興味のある人だけが行く場

しかしタクシー業界の会社説明会は、そこに留まりません。
未経験者や異業種からの転職希望者が“業界理解の第一歩”を踏み出す場所として、極めて設計が緻密です。

実際に足を運ぶと——
✔ 業界の給与体系や働き方のリアル
✔ 勤務スケジュールの柔軟さ
✔ 配車アプリ導入による売上安定の裏側
✔ 各社の研修制度やサポート体制
✔ 年齢・性別・経験を問わない採用背景

といった情報が曖昧な憶測ではなく、具体的なデータと事例を通して明確に提示されます。
これは、求人票やWEBサイトではなかなか得られない深度です。

説明会の中で印象的だったのが、現役乗務員による体験談でした。
20代・30代だけでなく、40代・50代の転職経験者が、自分と同じように不安を抱えていた頃の話を赤裸々に語ってくれたのです。

「履歴書に空白があって自信がなかった」
「前職は接客業でもなければ、運転も苦手だった」
「“怖そうな業界”という偏見があった」

そんな話を聞くうちに、
“不安を持ったまま説明会に来ることが、むしろ当たり前なのだ”という安心感が生まれました。

結果として、応募を即決したわけではなかったものの、
その後の意思決定において**「ちゃんと理解したうえで選べる」という心理的土台**が築かれたのです。

タクシー業界では、説明会限定で明かされる情報が意外と多いのも特徴です。
• 応募前に知れる“収入の具体的な内訳”
• 未公開の社宅制度や勤務地の空き状況
• 入社祝い金や給与保証の“社内適用条件”
• 「相性診断」的に行われる適性体験（模擬接客など）
• 面接通過のポイントと面談の流れ（事前レクチャーあり）

これらは、**説明会に来た人にだけ提示される“内部向けの情報”**であり、参加者だけが持てるアドバンテージとなります。

特に未経験者にとっては、
「求人票を見ても何を信じていいか分からない」
「条件ばかり比較してもピンとこない」
という悩みがつきもの。

その点で、説明会は**“信頼できる情報に直接触れる唯一の場”**だと言えます。

もう一つ見落としがちなのが、会社説明会が“人脈形成の場”にもなり得るということです。

参加者の中には、
• 同じような背景の転職希望者
• 既に内定を受けたばかりの人
• 応募を検討して複数社を比較している人

など、さまざまな“リアルな声”を持つ人がいます。
彼らと軽く話すだけでも、情報の幅が広がり、視野がぐっと開けます。

また、採用担当者との事前接点があることで、
面接時に「説明会でお話した○○です」と言えるなど、心理的・実務的なハードルも下がるのです。

「説明会だけでも行ってみて」は、軽い提案のようでいて、実はとても的確なアドバイスでした。
求人票を読むだけでは得られないリアル、
不安を抱えたままでも踏み込める安心設計、
そして、意思決定の精度を高める情報と人との出会い——

タクシー業界に限らず、「何かを始める前に理解を深める場」があるかどうかは、その後の転職成功率に大きく影響するのです。

不安があるからこそ、
まだ応募を決めていないからこそ、
説明会には“行く価値”があります。