2回転職して辿りついた“落ち着く場所”

「もう失敗したくない」「次こそ長く続けたい」
そう思いながらも、気づけば転職を2回。自分には安定したキャリアは築けないのではないか——。
そんな不安を抱えていた40代の男性が、タクシー業界への転職で“初めて落ち着ける職場”を見つけたといいます。

これまでの職場と何が違ったのか。どうして定着できたのか。
“転職経験者だからこそ見えたリアル”を通して、タクシー業界の本質に迫ります。

最初の転職は、事務職から営業職へのキャリアチェンジ。
人と話すことは好きだったが、「成果＝数字」で評価される環境に強いプレッシャーを感じていたといいます。

2社目では上司との関係に悩まされ、やがてメンタル的にも疲弊。
「もっと、自分のペースで働ける場所はないか」と考え、
興味を持ち始めたのが“タクシー乗務員”という選択肢でした。

これまでの職場では、チームワークや会議、進捗報告など「人に合わせる仕事」が多かったAさん。
しかしタクシーの現場では、営業所を出た瞬間から“自分の判断で動ける”世界が広がっていたといいます。

乗客を乗せるルートや営業エリアの選択、休憩のタイミングや場所まで、
基本的には**「自分で考え、自分で決められる裁量」が与えられている**のがこの仕事の特徴。

その自由さと“孤独ではないけれど干渉されない距離感”が、
これまでの職場では感じられなかった心の落ち着きを生んでくれたと語ります。

Aさんがタクシー業界に入って驚いたのは、前職で培ったスキルがそのまま活かせる場面が多かったことです。

たとえば、営業職時代に培った「相手のニーズを汲み取る力」は、
乗客の話を聞く力、目的地までの道順の提案、乗降時の気遣いなどにそのまま活かされます。

また、事務職時代の“数字への意識”も、売上管理や日報処理に活きたといいます。
何より「人に感謝される」経験が、自信を持てなかった自分を変えてくれたと振り返ります。

過去2回の転職では、「会社が求める自分」を演じ続けたAさん。
しかし、タクシー業界では“自分らしく働くこと”が許されるだけでなく、
結果として、それが成果にもつながるという実感が持てたことが大きかったといいます。

時間の使い方、営業エリアの選択、無理をしない働き方——
どれも「自分が決めた」と感じられるからこそ、責任感も芽生え、継続への意志も自然と高まったのです。

転職を繰り返すたびに、「また失敗するのでは」と自分を責めてしまう人もいるかもしれません。
しかし実際には、**「いろんな職場を経験したからこそ、本当に自分に合う場所が見えてくる」**こともあります。

タクシー業界は、他業種からの転職者を数多く受け入れてきた懐の深い業界。
2回目、3回目の転職で初めて“自分らしく働ける環境”に出会う人も少なくありません。

もしあなたが今、「次こそ最後の転職にしたい」と考えているなら——
この業界で、“落ち着ける場所”が見つかるかもしれません。